ロイペンと、しあわせの小さな王国

絵本『ロイペンと、しあわせの小さな王国』表紙

『ロイペンの しあわせを運ぶ旅』第2話。旅で集めた「しあわせのカケラ」を、ブドウ島の宮殿の仲間たちと分かち合うお話です。

1ページ目

『ロイペンと、しあわせの小さな王国』1ページ目の挿絵

しあわせのカケラを集める旅から、ロイペンが帰ってきました。
ブドウ島の宮殿「ロイヤルマキイズムクラブ」では、王族の小さなペンギン妖精たちが、ロイペンの帰りを待っていました。
「ただいまなのラン♪ みんな、わたしを待っていてくれたのラン?」

2ページ目

『ロイペンと、しあわせの小さな王国』2ページ目の挿絵

ロイペンの羽には、旅で集めた「しあわせのカケラ」が輝いていました。
ピンク色に光る「ぬくもり」。
音符のように揺れる「音色」。
深い紫と金色に光る「勇気」。
妖精たち「わあ……きれい……」
「このカケラたちはね、旅の途中で出会ったみんなの想いなのラン♪」

3ページ目

『ロイペンと、しあわせの小さな王国』3ページ目の挿絵

「わたしね、旅でわかったことがあるのラン。
しあわせは、ひとりでしまっておくものじゃないのラン。
誰かと分け合うと、もっと温かくなるのラン♪」
ペンギン妖精たちは、目を丸くして聞いていました。
分かち合うしあわせって、どんなものなのでしょう。

4ページ目

『ロイペンと、しあわせの小さな王国』4ページ目の挿絵

まずは、みんなでお茶の時間です。
ロイペンの大好きな、ロイヤルミルクティー。
まろやかな香りと、湯気が、宮殿いっぱいに広がっていきました。
「いい香りなのラン♪ 温かいお茶は、心まで温かくしてくれるのラン」

5ページ目

『ロイペンと、しあわせの小さな王国』5ページ目の挿絵

みんなでカップを両手で包むと、手のひらから、心までぽかぽかしてきます。
それは、旅で出会った「ぬくもり」のカケラと同じ温かさでした。
妖精「なんだか……誰かに優しくしてもらったみたい……」
「そうなのラン♪ ぬくもりはね、分け合っても減らないのラン」

6ページ目

『ロイペンと、しあわせの小さな王国』6ページ目の挿絵

ぽかぽかは、ひとつずつ隣へ伝わっていきました。
輪の端っこにいたペンギン妖精も、差し出された温かいカップを受け取って、にっこり笑いました。
「ほら、広がったのラン♪ 誰かを想う気持ちは、こうして輪になるのラン」

7ページ目

『ロイペンと、しあわせの小さな王国』7ページ目の挿絵

お茶のあとは、小さな演奏会です。
ロイペンはベースを抱えて、旅の夜に聞いた、優しい音を思い出しながら、ゆっくりと弦をはじきました。
低い音が、ホールの床を、そっと揺らしました。
「音色のカケラを、みんなにも聞いてほしいのラン♪」

8ページ目

『ロイペンと、しあわせの小さな王国』8ページ目の挿絵

言葉にできない気持ちも、優しい音なら届けることができます。
ペンギン妖精たちは目を閉じて、音の温かさに耳をすましました。
妖精「なんだか、さみしくないね……。そばにいてくれるみたい……」
「それが音色の力なのラン♪ 心と心を、つないでくれるのラン」

9ページ目

『ロイペンと、しあわせの小さな王国』9ページ目の挿絵

その夜、ひとつの小さな悩みがありました。
明日の朝、ぶどうを届けに行く役目のペンギン妖精が、暗い坂道を思い出して、怖くなってしまったのです。
妖精「わたし……行けるかな……。途中で、怖くなったらどうしよう……」

10ページ目

『ロイペンと、しあわせの小さな王国』10ページ目の挿絵

「大丈夫なのラン。
勇気っていうのはね、怖くないことじゃないのラン。
怖い気持ちを抱えたまま、一歩だけ踏み出すことなのラン♪」
ロイペンは、「勇気」のカケラの光を、小さなランプのように分けました。
妖精「一歩だけなら……行ってみる……!」

11ページ目

『ロイペンと、しあわせの小さな王国』11ページ目の挿絵

朝になりました。
ペンギン妖精は、ぶどうのバスケットを抱えて、一歩、一歩、坂道を登っていきました。
怖さが消えたわけではありません。
でも、胸の小さな明かりが、足もとを照らしてくれました。

12ページ目

『ロイペンと、しあわせの小さな王国』12ページ目の挿絵

「ただいま! 届けてきたよ!」
ペンギン妖精の声に、宮殿中が笑顔になりました。
ぬくもりも、音色も、勇気も。
分け合ったカケラは、減るどころか、みんなの心の中で、大きく育っていました。
「見てごらんなのラン♪ これが、わたしたちの小さな王国なのラン」

13ページ目

『ロイペンと、しあわせの小さな王国』13ページ目の挿絵

その夜、ロイペンは、旅の途中で届いた手紙を、もう一度開きました。
「優しい言葉のおかげで、歩き出せた」――そう書かれた、差出人のない手紙です。
誰が書いたのかは、今もわかりません。
「あなたも、どこかで笑っていてくれるといいのラン……」
窓の外では、ぶどうの葉が、風にそっと揺れました。
まるで、遠くからの返事のように。

14ページ目

『ロイペンと、しあわせの小さな王国』14ページ目の挿絵

「宛先はわからないけれど……。
ありがとうは、きっと届くのラン♪
わたしのしあわせは、みんなと分け合って、もっと大きくなったのラン。
あなたのところにも、この温かさが届きますように」
ロイペンは、書き終えた手紙を、星空の見える窓辺に置きました。
届くかどうかは、わかりません。
でも、想いはもう、風に乗って旅立っていました。

15ページ目

『ロイペンと、しあわせの小さな王国』15ページ目の挿絵

ブドウ島の宮殿「ロイヤルマキイズムクラブ」は、今日も笑い声でいっぱいです。
王国というのは、大きな場所のことではありません。
想いを分け合える仲間がいる場所。
それが、ロイペンの見つけた、しあわせの小さな王国でした。
「ロイヤルな幸せは、みんなで分け合うからロイヤルなのラン♪」

16ページ目

『ロイペンと、しあわせの小さな王国』16ページ目の挿絵

次回――ロイペンの分かち合ったしあわせは、風に乗って、どこへ届くのでしょう。
そして、窓辺の手紙は、誰の手に渡るのでしょう。
「次もお楽しみになのラン♪」