ラキソウくんと、育つものの見守り方

ラキソウくん個人シリーズ 第2話。

ZINE第2話のラキソウくん側のお話です。落としたタネと、分かれ道で選ぶ心のお話。

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ラキソウくん 挿絵1

ペパーミン島の草原に、朝の風が渡っていきます。ラキソウくんは希望の丘で、ふと、あのタネのことを思いました。トマ島の森で落とした、小さな光のタネのことです。

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ラキソウくん 挿絵2

「ふわり〜。ねえ、ポンちゃん。ぼくが森の土に落としたタネ、いまごろ、どうしてるかな」ポンちゃんは、ケロッと鳴いて、草のほうをじっと見ました。

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ラキソウくん 挿絵3

あの日、にこっちと出会った帰り道。ラキソウくんは、小さな光のタネを一粒、森の土にそっと落としました。芽が出るのは、もう少し先。そう思って、置いてきたタネでした。

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ラキソウくん 挿絵4

「育つものはね、ほじくり返して確かめたら、びっくりして止まっちゃうんだ。ぼくの仕事は、急がせないこと。信じて、見守ることだよ、ふわり〜」遠くで、島の真ん中の塔の音が、いつもどおり、まっすぐ届いています。

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ラキソウくん 挿絵5

「ん? この風……。にこっちが、また森へ出かけたみたいだ。動く人の風は、何度でもぼくに届くんだ」

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ラキソウくん 挿絵6

ラキソウくんは、風に乗りました。草原を越えて、海を越えて。トマ島の緑の丘と森が、だんだん近づいてきます。タネの様子も、見てこよう。そんな気持ちも、少しだけありました。

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ラキソウくん 挿絵7

森の大きな木の前で、にこっちが立ち止まっていました。道が、ふたつに分かれています。右は、お花がいっぱいの明るい道。左は、ちょっぴり暗くて静かな道。

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ラキソウくん 挿絵8

「うーん、どっちにしよう?」ラキソウくんは、葉っぱの影から、そっと見守っていました。先に答えを言ってしまったら、選ぶ心は育ちません。だから、もう少しだけ、待ちます。

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ラキソウくん 挿絵9

ラキソウくん「どちらを選んでも、うんはついてくるよ」
にこっち「えっ? どっちでもいいの?」
ラキソウくん「うん。でもね、選んだ”あと”が大事なんだ」

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ラキソウくん 挿絵10

にこっちは、しばらくじーっと考えました。「明るい道もいいけど……気になるのは、こっちかも」「よし、くらいほうに行ってみる!」選ぶ心が、ひとつ育った音がしました。

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ラキソウくん 挿絵11

にこっちが歩き出したあと、ラキソウくんは小道のわきへ回りました。ここが、タネを落とした場所です。土は、ほんのりあたたかくて、小さな力が眠っている気配がしました。「まだ、眠ってるね。ふわり〜。それでいいんだよ」

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ラキソウくん 挿絵12

にこっち「あっ! これ、きれい〜!」にこっちが拾ったのは、小さなきらきら石でした。それは、ラキソウくんのタネとは別のもの。選んだ道の先で、にこっち自身が見つけた、じぶんだけの「うん」でした。

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ラキソウくん 挿絵13

そのときでした。タネの土の真ん中が、もこっと動いて――双葉の小さな芽が、顔を出しました。「……出た! 誰にも急がされなかったから、自分の力で出てきたんだね」

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ラキソウくん 挿絵14

ラキソウくん「見つけたね、じぶんだけの”うん”」
にこっち「選んでよかったな〜!」
ラキソウくん「行動するたび、うんは変わるんだ。……そして、育つものは、見守るたびに育つんだよ、ふわり〜」芽のことは、まだ内緒です。芽がもう少し大きくなるまで、ふたりの秘密を見守ることにしました。

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ラキソウくん 挿絵15

「ポンちゃん、タネね、芽が出たよ。選ぶことも、育つことも、急いだら見られない景色があるんだ」ポンちゃんは、ケロッと鳴きました。丘の風が、芽吹きの知らせを、そっと運んでいくようでした。

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ラキソウくん 挿絵16

次回――『ラキソウくんと、芽と木のあいだ』。芽が出たタネと、育てる木のお話。「ふわり〜。お楽しみに」