ラキソウくんと、風のよびごえ

ラキソウくん個人シリーズ 第1話

『Destiny ZINE 第1話』で、にこっちが出会ったラキソウくん。その出会いの前日からの、ラキソウくん側のお話です。

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ラキソウくん 挿絵1

ペパーミン島の草原に、「運の種」と呼ばれる存在がいます。その名は、ラキソウくん。今日も、風の音に耳をすましています。

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ラキソウくん 挿絵2

「ふわり〜。ぼくの仕事はね、動いた人のところへ、風に乗って行くこと。じっとしている人のところには、風は吹かないんだ」

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ラキソウくん 挿絵3

昨日の夕方、遠くのトマ島のほうから、小さなため息が風に乗って届きました。「うんがいいって、どういうことなんだろ?」誰かの、モヤモヤした気持ちでした。

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ラキソウくん 挿絵4

「ん? いま、ぼくの中の種が動いた。……この感じ、久しぶりだな。誰か、動き出しそうな人がいる」

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ラキソウくん 挿絵5

でも、ラキソウくんはすぐには飛び出しません。運の種は、本人が「動く」と決めるまで、そっと待っているのです。

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ラキソウくん 挿絵6

その夜、トマ島の明かりは、いつもより長く灯っていました。誰かが、考えて、考えて、そして決めた夜でした。

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ラキソウくん 挿絵7

「来た! 誰かが、朝いちばんに動き出した。この風は、その合図だ」

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ラキソウくん 挿絵8

「よし、タネも持った。出会いの先で、何が育つかは、お楽しみだね、ポンちゃん」ポンちゃんは、ケロッと鳴いて見送りました。

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ラキソウくん 挿絵9

風に乗ると、島の景色が流れていきます。草原を越えて、海を越えて、トマ島の緑の丘が見えてきました。

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ラキソウくん 挿絵10

森の中では、ひとりの冒険家が歩いていました。「うんくん、どこにいるの〜?」その声が、森に響いていました。

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ラキソウくん 挿絵11

しばらくして、声が止みました。葉っぱ、石ころ、つまずいた靴。思うように見つからなくて、気持ちがしぼんでいく気配がします。「……今だね。しょんぼりの底で、それでも歩いてきた人のところに、運は行くんだ」

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ラキソウくん 挿絵12

「こんにちは。風が運んできたのは、きみだったんだね」こうして、運命の庭――トマ島の森の小さな広場で、行動と偶然のふたりは出会いました。

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ラキソウくん 挿絵13

「そう。ぼくは”うん”のタネ。でも、じっとしてるだけの人のところには行かないんだ。きみが動いたから、風が吹いたんだよ」

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ラキソウくん 挿絵14

ふたりは一緒に、森をぬける小道を歩きました。ラキソウくんは、帰り際に、小さな光のタネを一粒、森の土にそっと落としました。

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ラキソウくん 挿絵15

「このタネが芽を出すのは、もう少し先の話。きっと、きみ自身が見つけて、育てることになる。……その日が楽しみだな」

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ラキソウくん 挿絵16

次回――『ラキソウくんと、育つものの見守り方』。落としたタネと、分かれ道で選ぶ心のお話。「ふわり〜。お楽しみに」